乾癬性関節炎とは?難病ではないのか

乾癬性関節炎は単独で起こるより、皮膚疾患のある尋常乾癬と同時に起こることがとても多いと言われています。

しかしもちろん数パーセントは乾癬性関節炎独自で発症する場合や、先行して発症した後、尋常乾癬が発症していくということもあります。

しかし難病としての指定は、尋常乾癬でも乾癬性関節炎でもなく、汎発性膿疱乾癬のみ認定されています。

もちろん完治法もまだわかっていない乾癬は、どのタイプでもひどくなると普通の生活ができなくなるまでになってしまいます。

特に乾癬性関節炎は歩くことができなくなったり、手が動かなくなったりと身体障害者としての認定を受けることになる場合もあり、それによっていろいろな公的なサービスを受けることもできるので、ひどい場合は申請すべき状態になることもあります。

しかしどんなに生活ができない、寝た切りになっている、完治の見込みがない、原因が分らないというものであっても乾癬性関節炎などは難病認定されていません

ただし同じ乾癬であっても、汎発性膿疱乾癬は命にもかかわるので難病として認められているのです。汎発性膿疱乾癬はとても危険性のある乾癬で、尋常性乾癬の重度症というふうに見なされています。

乾癬自体は命にかかわることはありませんが、汎発性膿疱乾癬の場合は衰弱することで命も脅かすものなのです。そのため特定疾患つまり難病扱いと認められるわけです。

乾癬の患者の中でも1%程度といわれている発症率ですので、乾癬性関節炎よりも少なく希な症状だとも言われていますが、確実に年間17~8人は発症しています。

乾癬はもちろん原因はまだ分っていませんが、遺伝が深く関係しているとも言われています。働き盛りの30代に発症する人が多いということで、きちんとした支援がないと難しいことも多いはずです。

特に汎発性膿疱乾癬の場合は難病扱いであれば多くのサービス、支援を受けることができるので掛り付けの医師と相談して申請するようにしましょう。

もちろん乾癬性関節炎であっても生活ができないときには、障害者申請をしてサービスを受けることができます

乾癬性関節炎は特定疾患ではない

乾癬性関節炎は乾癬の中でもとても少なく、単独で乾癬性関節炎の人は本当に数パーセントですが、尋常乾癬炎と同時進行の症状がある人はずっと高い割合になります。

どれも薬によって改善する場合もありますが、またいつ再発するかも分りません。もともと原因がはっきりしていないため、完治も難しいと言われています。

そのため長期間の治療をし続けることで症状を抑えるという現実もあるのです。症状がひどくなると生活に支障がでることもあり、そうなると身体障害者の申請も受理されることも考えられます。

さて乾癬疾患の中でも、膿疱性乾癬疾患を持っている患者に対しては特定疾患の指定もされています。

膿疱性乾癬患者は1800人前後で、年間80人前後の人が新規発症していると言われていますが、急激に発熱や膿みが出て衰弱状態になるものです。乾癬疾患の中では、膿疱性乾癬の割合は少なくなります。

乾癬と同じ自己免疫疾患であるリウマチ性多発筋痛症、アミロイドーシス、サルコイドーシス、ウェーバー、クリスチャン病、多発性軟骨なども特定疾患として厚生労働省の認定を受けています。

主な症状としては屁津熱、全身倦怠感、食欲不振、むくみ、そして無菌性の膿疱が出現します。ひどいときには広範囲に膿疱ができて、つながってしまったりすることもあります。

特に全身に発疹、膿疱が表れるタイプの汎発性膿疱乾癬と言い、このタイプの膿疱乾癬は特定疾患に認定されています。つまり膿疱乾癬ならすべて特定疾患に認められるのではなく、その症状によって認められるわけです。

乾癬性関節炎の診断基準

乾癬性関節炎の診断は血液検査をしても、それだけでは確実に乾癬性関節炎だと言い切れない部分があります

そこでX線で白く厚ぼったくなっている骨の状態や、骨の崩壊があるかなどを確かめます。しかしその症状がなければX線でもはっきりしません。

そこで他の症状も参考にすることも多くなります。特に乾癬患者の70%は皮膚症状となり、尋常乾癬と言われるものです。

また残りの15%は皮膚疾患と乾癬性関節炎の並行症状があると言われており、あとの15%は乾癬性関節炎が先に症状として出るものとされています。

もちろんこの中には乾癬性関節炎単独の症状という人も数%いて、リウマチなどの症状の出るところに出ていると誤診の原因にもなります

特に単独の症状と先行して乾癬性関節炎が出ている場合以外は、他の乾癬皮膚症状があるので割とすぐに乾癬だという診断がつきます。そのためほとんどの場合は皮膚症状の乾癬が診断基準になるとも言えるのです。

現在他の乾癬にかかっている場合以外の診断基準として、過去に乾癬の病歴がある場合も可能性を疑います。

特に乾癬の場合は完治しないと言われているので、一時的に症状が治まっている可能性があり、それが急にまた再発することも十分考えられるのです。

他には兄弟、両親、祖父母などに乾癬がいる場合も診断基準となります。血液検査でリウマトイド因子が陰性であること。そして指全体が腫れる指炎がある場合なども診断基準に関係します。

X線に乾癬性関節炎の特徴がはっきり出ている場合なども診断基準の一つとなるでしょう。

乾癬性関節炎はリウマチと、とても似ている症状もあり、リウマチにはあり得ないという症状があるときには割とすぐに乾癬性関節炎と診断がつきますが、リウマチにもあり得る症状だけの場合はとても難しいと言われています。

しかしリウマチと同じように乾癬性関節炎も早い発見と治療が大切になります。少しでもきちんと診断を受けて早く治療を始めるようしたいものです。

特に経験の少ない個人皮膚科では誤診をすることもあるので、大きな病院などで診断を受けることをおすすめします。

乾癬性関節炎と血液検査

乾癬性関節炎の検査としてX検査血液検査があります。関節炎の骨が破壊されて削られている部分があるかなど、X線を通して検査をします。

また骨の増殖によって厚みのある骨になっているなど、間違いやすいリウマチ疾患ではあり得ないようなところがあると正しい診断ができます。

血液検査の場合、関節炎があると赤沈やCRPの炎症反応が陽性になります。これは反応性関節炎と言われる疾患との違いが難しいところでもあります。

CRPは炎症によって出てくる急性期蛋白で、赤沈は炎症以外の疾患でも変動することがあるので乾癬性関節炎と絞り切れません

つまり赤沈とCRPは特に乾癬性関節炎のみの検査ということではないため、総合的な診断がとても重要になります。

そして血液検査だけでは乾癬性関節炎だと絞り込みはしにくいとも言えるのです。またCRPの変動は4時間から6時間で血中半減期がくるので、ある意味すぐに結果が出ます。

しかし赤沈の法は半減期には多くの因子がかかわるので、時間がたってから結果に表れることになります。

そこで関節炎の変形などがあって、乾癬性関節炎や慢性リウマチなどが疑われるときでも、CRPが正常であればステロイドなど安易に使うのは避けることが大切になります。

つまり乾癬性関節炎の場合は血液検査だけでなく、現状の症状やX線などによって疾患を特定することが必要になるのです。

例えば1関節炎異常の痛みと腫れがあり運動制限がある場合や、手足の非対称関節炎、日か結節の欠如、血清リウマトイド因子の陰性、滑膜表層細胞の増殖、仙腸関節炎など乾癬性関節炎の可能性のある所見を見ながら決定していくことになります。

そのため乾癬性関節炎独特の症状があるものや、尋常乾癬が発症している場合はほとんど間違われずに判断されますが、乾癬性関節炎のみの場合は誤診がないとは言い切れません

またリウマチと間違った判断であっても、途中から乾癬の皮膚炎が起こってはじめて、乾癬性関節炎と正しい診断がつくということもあります。

乾癬性関節炎の身体障害者認定されるのか

乾癬性関節炎は本当にいろいろな症状があり、一番多い症状は股関節、膝関節、手指や足指の関節に症状が出ることが多く、リウマチとも似ている症状でもあります。

特に乾癬性関節炎は20代から50代に発症することが多いことから、働き盛りに起こる病気とも言えそうです。しかし乾癬患者の90%以上が尋常性乾癬で、乾癬性関節炎の発症率は数パーセントということになります。

非ステロイド抗炎症薬の内服が勧められており、NSAIDs治療、そして生物学的製剤治療などがありますが、それでも状態があまり良くならないという場合もあります。また生物学的製剤の治療は高額になるので受けることができない人も出てきます。

そして乾癬性関節炎は骨の破壊が起こり変形を起こしていきますが、体中関節の痛みが起こることもあり、乾癬性関節炎の5%は背骨や骨盤、仙腸関節、股、肩などの関節の痛みが出ることも。

これらの骨が治療によって改善されないことによって、歩くことや生活に支障が起こることも考えられます

特に歩くことや仕事ができないという場合は、市町村に申請を出すと障害者認定をしてもらうことができます。また足腰がしっかりしていても手がひどい状態で何もできないというときには、それでも申請してみましょう。

また適切な治療を受けるために高額療養費制度、高額療養費貸付け制度なども利用できます

乾癬性関節炎は治療は長期かかるので医療、福祉などの公的支援が受けられます。しかし市町村に申請手続を行い対象者と認められないと受けられないので、きちんと申請をしなければなりません。

申請用の書式が市町村によって違うこともあり、医師の診断書や他の書類も必要になるので、細かい手続のことはまず市町村の福祉課に連絡して聞いてみましょう。

身体障害者は1級から16級まであり、それぞれに認定されると身体障害者手帳が交付され、福祉の支援を受けることができます

まず身体障害者の認定対象になるかは、掛り付けの医師に相談しましょう。申請が受理されると住宅の改造、生活用具給付、ヘルパー派遣サービスなどいろいろなサービスが受けられます。

返信を残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です