乾癬性関節炎はリウマチとも似ている症状だったりする場合もあります。治療法も同じ治療法を行うこともあり、特に生物学的製剤治療はリウマチでも行う場合もあるのです。
まず非ステロイド抗炎症薬の内服が最初の治療として行われます。しかし半年ほど使って結果があまり出ないときには、疾患修飾性抗リウマチ薬の一種であるメトトレキサートの投与が行われることもあるようです。
しかし副作用などでこのメトトレキサートが難しいときにはサラゾスルファピリジンを使うという場合もあります。
しかし脊髄や骨盤の変形など重度の乾癬性関節炎の場合はTNF阻害薬を使用します。これは生物学的製剤ということになります。この生物学的製剤も、これでダメな場合は他のTNF阻害薬を使用するチャンスがあるわけです。
また乾癬性関節炎の場合、尋常乾癬と並行して起こることがとても多く、その場合は尋常乾癬の治療として生物学的製剤治療を始めることになり、その結果乾癬性関節炎が著しく改善されたということもあります。
特に生物学的製剤治療は副作用があるということと、価格的にとても高額だということで、簡単に使えないことがほとんどです。
そして乾癬は完治ということがないため、もし生物学的製剤治療で改善された場合は、ずっと続けることが必要になります。1カ月に15万円~、薬剤によってはもっと高くなることもあります。
副作用と価格がネックになり、すぐに生物学的製剤治療を行うことはあまりありません。
10年ほど前からリウマチに生物学的製剤治療を行うことができるようになり、それから数年遅れて乾癬性関節炎にも使用できるようになりました。
今承認されている生物的製剤はインフリキシマブとアダリムマブ、ウステキヌマブの3つが使われています。
また薬剤だけでなく、毎日の生活の改善も大切になります。特に乾癬性関節炎の場合は、ストレスと深く関係があるためストレス解消をしましょう。
例えば細かいことを気に止めないように、考え方を根本的に変えること。またそれが難しければ、できるだけ受けたストレスを解消する方法を探すということもおすすめです。
乾癬性関節炎のガイドラインについて
乾癬には尋常乾癬と関節性関節炎があります。関節性関節炎の原因は遺伝的な背景があるとも言われていますが、まだはっきりとした原因が判明はしていません。
白血球の遺伝型とも言われるHLAのB型と過関係があるとも考えられています。乾癬の中でも70%は皮膚症状が出ますが、15%は皮膚と関節症が同時に出るとも言われ、残りの15%は関節症状が先行するとも言われているのです。
主に手の指に腫れと痛みを伴い、第2関節や付け根の関節に炎症が起こりやすくなります。他にも手首、膝なども起こりやすくなります。ひどくなると骨破壊が起こり変形が起こることも。
乾癬性関節炎に対して2012年に欧州リウマチ学会が発表したガイドラインを、多くの医師が利用していると言われています。
乾癬性関節炎に対しては、非ステロイド抗炎症薬の内服が勧められており、NSAIDsを3~6カ月程度の使用で改善を見込むことに。
しかし改善がない場合は摂関修飾性抗リウマチ薬であるDMARDsのメトトレキサートを推薦しています。また副作用があるときにはサラゾスルファピリジンを使用するように推薦されているとのこと。
それでも効果が不十分だったり、脊髄、骨盤の変形や痛みがある場合にはTNF阻害薬を使った生理学的製剤の併用に変えることにもなります。
そしてTNF阻害薬を半年程度使用して効果が出ない場合は、別のTNF阻害薬を使用することも推奨されています。
生物学的製剤は生物が生成したタンパク質から作ったもので、日本ではインフリキシマブとアダリムマブ、ウステキヌマブの3つが認可されているので、効果によっては種類を変えてみるという方法もあるわけです。
インフリキシマブはリウマチとしては2003年から乾癬としては2010年から。アダリムマブはリウマチとして2008年から乾癬としては2010年からとなっています。
ウステキヌマブは2011年に承認されています。このように次々と生物学的製剤も増えていて、今後もどんどん新薬は承認されていく予定にとなっているとのことです。
乾癬性関節炎の完治について
乾癬性関節炎の原因はまだすべて明らかになっていません。そのために乾癬が完治する治療法はまだ不明と言われています。
今行われている治療はすべて症状を抑えるものであって、完治する薬ではありません。乾癬と上手に付き合うための最良の方法として、今の治療の数々があると考えましょう。
また一時的に完治したかと思うほど、症状が治まっていてもまた再発するケースが多くあります。生活習慣を見直すことなどによっても改善されることがありますが、それが完治にはつながらないと言えそうです。
乾癬性関節炎でも30%~50%はアキレス腱に痛みが発症するもので、他の関節の痛みも生じることもあります。
またリウマチにとても似た症状ですが、乾癬の場合は体中の関節の痛みが起こることもあり、5%は背骨や骨盤、仙腸関節、股、肩などの関節の痛みが出ることもあります。
リウマチと間違われやすい疾患ですが、このようにリウマチでは出にくい部分に症状が出ると、リウマチとの誤診もほとんどありません。
しかし乾癬性関節炎では指関節に痛みが出やすく、力が入らなかったり変形を伴うムチランス型のものもあります。この辺はリウマチと見間違ってしまう医師もいるほど、最初は分りにくい症状だとも言われているようです。
関節に炎症が起こるだけでなく、アキレス腱や踵の腱にも炎症が起こりやすく、靱帯にも痛みやどの症状が出こともあり、人によっては驚くことに結膜炎などの目にも異常が出ると言われています。
他にも強直性脊椎炎によって心臓弁膜症や大動脈弁閉鎖不全なども起こったり、目の内部の炎症が起こると視力が落ちたり、ブドウ膜炎が発症なども起こる可能性もあるようです。
乾癬性関節炎は本当にいろいろな症状が出ことが特徴の一つですが、乾癬性関節炎の70%は皮膚炎症の法も発症しますが、15%は関節症メインで病状が進行するようになります。
皮膚症状が出と乾癬とすぐに分かりますが、皮膚症状がでない場合はリウマチとの区別がつきにくいという部分があり、誤診につながるともいえそうです。
誤診につながれば完治どころか、改善にも時間がかかってしまうこともあります。